開発ファーストのホンダに戻れるか
マガジンXでは、現行フィットが発売された四年前から不具合続出の原因は、ホンダの開発体制にある、その問題を作ったのはマネジメントであるとの取材と記事掲載を行いました。
その後、責任を認めないまま前任の伊東社長は退任、八郷社長のもとで、数の論理の見直しが図られました。
フィットの不具合は苛烈を極めましたが、先ごろ発売された改良型で多くの問題は解消されたようです。
要するに成果を追いすぎると、それを支える会社の基盤部分に軋轢が生じる。マネジメントがそれを放置した結果、自社の強みであり、特徴であるはずの基盤部分がダメージを受ける。受けたダメージは簡単には修復できません。
かつて全米でのリコール禍に揺れたトヨタが、豊田章男社長のリーダーシップのもと足元を見直し、数の論理では説明できない「もっといいクルマ」を組織をあげて模索し続けた結果、いまの好調さを取り戻したように、企業とはリーダーにより繁栄もするし、停滞、あるいは崩壊もあり得ることが分かります。
神鋼や日産もやはりリーダーのありようが問われているように思います。
翻ってホンダです。少し前にも書きましたが、ホンダもかつてのトヨタと同じ道を歩いているように見えます。まだ兆しの範囲ですが、ホンダのブランドとはなんなのかを社内の各処でで議論し、具体化しようとの取り組みが行われています。開発ファーストの企業理念を思い出したかのように、エンジニアを集めています。
エンジニアという人種を集められると言うのは、実は大きな意味があることです。単に条件だけでなく、エンジニアが働きたいと感じる風土の変化がなければなりません。ホンダにはそれが復活しつつあるということです。
年間販売台数1000万台規模の競合者に対して500万台規模のホンダが互角に戦い、他者を凌駕できるのかについては、未だにホンダはまわりが納得できる解を提示しきれていません。が、ホンダは開発ファーストの再構築とグローバルな開発連携で乗り越えようとしているとは感じます。