日産とホンダは経営統合に向けた協議&検討を開始することで合意し、共同持株会社設立に向けた検討の基本合意書を締結した。また、三菱は今回の検討に参画&関与することでシナジー効果を生み出せるかどうか検討し、25年1月末をメドに参画するかどうかの結論を出す。
両社は3月15日に戦略的パートナーシップに関する覚書を締結し、8月1日には次世代ソフトウェアデファインドビークル向けプラットフォームの領域における共同研究契約を締結して協業に向けた議論を進めてきた。これから検討が始まる経営統合が実った場合、
1)車両プラットフォームの共通化によるスケールメリット
2)研究開発機能の統合による開発力向上とコストシナジーの実現
3)生産体制&拠点の最適化
4)購買機能の統合によるサプライチェーン全体での競争力強化
5)業務効率化によるコストシナジーの実現
6)販売金融機能の統合によるスケールメリットの獲得
7)知能化・電動化に向けた人財基盤の確立
が想定されている。ホンダの三部敏宏社長は「これらは候補。シナジー効果が出るかどうか今後、検討して方向性を決めていく」とした。また、共同持株会社が設立された後も日産とホンダの両ブランドは存続し、両社は共同持株会社の完全子会社になる。
共同持株会社の取締役の過半数や代表取締役社長または代表執行役社長は時価総額の大きいホンダが指名する予定で「立ち上がり時はホンダがリードする」(三部社長)。
経営状況が芳しくない日産への救済策ではないか?との見方もあるが、日産の内田誠社長は「自主的に改善できない状況は一切ない。まずは再生するためにターンアラウンドを進めて利益の出る会社にする。それが私のコミットであり、使命だ」として救済策ではないことを強調。三部社長も「自立した2社」との表現を繰り返し使って上下関係にはしない旨や救済ではない旨を語った。
鴻海(ホンハイ)が日産に買収を持ちかけ、それを回避するための経営統合か?との報道も見られたが、これまた内田社長は「アプローチの事実はない」とキッパリ否定した上で「友好的な提案があれば取締役会で協議する」とした。
このタイミングでの発表について三部社長は「深掘りして議論するには検討スタートの発表が必要と考えたから」、内田社長も「まず検討することを説明する必要があると考えたから」とそれぞれコメントした。
商圏や商品が重複している部分もあるが、三部社長は「今後、話が進めば考えていく必要はある。減産や削減ではなく、伸ばしていくことを考えたい。合理化するための統合ではない」と話す。
会見で三部社長は「日産は文化も名車もあって尊敬に値する会社」、内田社長は「ホンダは将来の危機感が共有できる相手で、その危機感に順応するスピード感を持っている」と互いの存在を認め合った。
順調に進めば25年6月に最終契約書締結、26年4月に両社の臨時株主総会で株式移転の承認決議、同7〜8月に上場廃止、同8月に株式移転の効力発生といったスケジュールで進む見込みだ。