2024年10月号『ざ・総括。』日本車のデザイン【後編】の記事がnoteから購入できるようになりました

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マガジンX 2024年10月号(8月26日発売)に掲載された『ざ・総括。』日本車のデザイン【後編】の記事をnoteにて税込300円で購入できるようになりました。以下は無料公開の冒頭部分です。続きを読みたい方はその下のリンクからご購入ください。

【日本車のデザインはどうか<後編>】

日本の道でよく見かけるクルマは軽自動車と小さなミニバン、乗用車っぽい小型のクロスオーバー、それと小さなハッチバックだけで8割以上を占めるだろう。セダンは欧州車以外ではあまり見かけない。日本市場はかなりイビツになった。走っているクルマのプロポーションは21世紀になって以降、大きな変化はない。かつてのバブル時代のように、思い切ったデザインのクルマもあまり出てこない。「カーデザインは停滞している」と言っていいだろう。これは何が原因なのか。日本車のデザインの深いところにある「ダメ」は何なのか。ここを探るべく、本誌のデザイン評価陣に集まってもらった。話の中で見えてきたのは「自分の会社しか知らない人の集まり」という問題点だった。

デカいグリルの理由

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 前号に続いてカーデザインを取り上げる。昨年のJMS(ジャパン・モビリティ・ショー)のあとで「ざ・総括。」デザイン評価陣のお三方に集まっていただいたとき、唐突に質問したのは「日本車のデザインは大丈夫か?」だった。何を考えているのか分らかない日産のショーカー3台を見たあとだったから、オレはいきなり心配になってきた。前号ではデザイン組織の話や中国と米国の好みの違い、マツダのショーカー「アイコニックSP」への賛否両論などが話題だったが、後編では「日本のカーデザインは本当に大丈夫なのか?」というテーマで話をしていただきたい。

デザインコンサルタント(以下=デ) 前回の繰り返しになるが、日本車と言ってもいろいろあるし、OEM(自動車メーカー)ごとに商品の事情がある。だから一概には言えない。それを承知で、あえて「どうなの?」と問われれば、たしかに心配ではある。つねに欧州勢は前進している。米国勢も新しいことをしている。中国勢も力を付けてきた。日系OEMにとっては四面楚歌だ。

自動車業界の事情通(以下=通) いきなり具体的な話になるが、たとえばランドクルーザー250はどうなのか。個人的には、ちょっとゴテゴテして「ひ弱」に思う。マシンとしての力強さを感じない。

独立デザイン事務所のデザイナー(以下=独) 全体はボクシーなフォルムで、そこに前後のホイールアーチを張り出させたシンプルな構成だ。ベルトライン(サイドウインドウ下端の線)がステップしているのは、悪路を走るときの運転視界を考えてのことだろうし、バンパーが3分割なのは、悪路でぶつけたときにそこだけ交換できるようにするためだと思う。理にかなっている。

某自動車メーカーのデザイナー(以下=メ) ただし理屈だけではユーザーの心はつかめません。ランクル250は、トヨタのデザイナーがオフロードSUVのスタイリングに備えるべき機能性を盛り込んだのだろうと思います。その意図はよく分かるのですが、たしかに少々「ひ弱」に感じます。その理由はボディ側面のプランカーブ(俯瞰視での丸み)が足りないことです。面の「張り」の強さが足りません。

 本当のオフローダーはベルトラインを高くしてはいけない、というのが正論だ。厳しい悪路を走るときは窓を開けて身を乗り出して路面を確認するような場面がある。だからベルトラインは必要以上に高くないほうがいい。ところが、SUVの世界では初代レンジローバー・イヴォークが高いベルトラインに薄いキャビンを組み合わせて大成功したから、レンジローバー全体がベルトラインを上げてしまっている。他社も同様だ。

元部品メーカーのエンジニア(以下=部) なるほど、ヒット作に引っ張られたわけですか。たしかに、ほとんどのSUVユーザーは実際にはオフロードは走りませんからね。

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