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【中国製BEVと中国自動車産業】
「ヤケクソ中国」に日本はやられてしまう⁉
2025年の中国製BEV(バッテリー電気自動車)出荷台数は1000万台に達する見通しだ。中国政府は国内不景気への対策と自動車産業支援のために「買い替え」を奨励しており、2025年末まで税率10%の国税である購入税は免除されている。また、それ以外にも省や市など行政区単位での購入支援策が実施されており、1台につき2万元(約30万円)以上の支援が続いている。では、いま中国で売られているBEVは機能・性能面ではどうなのか。中国の自動車産業はかつてのような「コピー車」はもう作っていないのだろうか。試乗車2台の印象をもとにして中国BEVの「いま」を探った。
開発現場の「996」
エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 今回は皆さんに中国製BEVに乗ってもらった。ナンバー付きではないので敷地内だけでの試乗だったが、街乗り速度程度の味見はしていただけたと思う。今回は試乗の印象をベースに、現在の中国製BEVとその周辺事情について話をしてもらいたい。ゲストに元某OEM(自動車メーカー)で技術調査を担当していたベテラン氏をお呼びした。もうお一人、この評価会議には初登場の方で、某欧州系ESP(エンジニアリング・サービス・プロバイダー=開発支援会社)のエンジニア氏もお呼びした。
ベテラン技術調査員(以下=調) お久しぶりです。よろしくお願いします。実は昨日まで中国におりました。私が某OEMにいた時代とは違って、いま日系OEMは技術調査の専従スタッフを中国には置いていません。なので、あちこちからお呼ばれしていて、中国と日本を行き来する生活です。
某ESPエンジニア(以下=E) ボクは事情通さんと長年の付き合いなのですが、いま籍を置いている会社のことは言えません(笑)。
自動車業界の事情通(以下=通) この方とは、よく中国の仕事で一緒になった。オレよりもずっと若いが、出身は某サプライヤーだ。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) 欧州系ESPの日本法人にいる人は、だいたい日系OEMかサプライヤーの出身だね。
E ボクは身を粉にして打ち込むエンジニアの仕事がしたくて某サプライヤーに就職したのですが、仕事のレベルが低いことと、オッサンたちの知識の低さ、経営陣の危機意識の低さに辟易していました。そこに働き方改革とかいうお節介が重なって残業時間は減り、やりがいのある仕事ができないだけでなく、OEMからの指示待ちという昔ながらのサプライヤー体質がまだ続いていることに嫌気がさして辞めました。
調 新しいチャレンジがほとんどないからなぁ…。私のようなロートルから見ていても若いエンジニアが可哀想です。宝の持ち腐れだ。どうですか、ESPに転籍してからは。
E 仕事量はメチャクチャ多いですが、すべて自分で考える仕事であり、チームは「アイデア」「解決策」をつねに求められます。海外の事務所とのオンラインでの設計検討とか、毎日が忙しくて楽しいですよ。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) そうなんだよね。なぜ日本の行政は「働き方改革」にホワイトカラーまで巻き込んだのか。そもそもはトラック運転手、建設作業員、介護職といった過労死に近いところで仕事をさせられていることが社会問題になっていた職種の労働環境改善が目的だったはずで、それなのに技術者まで巻き込んだから、社内でしかノートPCを起動できないとか、号口(発売)が迫っているのに開発が間に合わないとかの不具合があちこちで起きている。
部品メーカーのエンジニア(以下=部) 全国民を巻きんだせいで、「やりがい」や「集中して取り組む意欲」が制度的に制限されてしまい、仕事の密度や創造性が阻害されました。行政はそこを分かっているのでしょうか。よく引き合いに出される欧米の「ジョブ型」とは、出世したい人が仕事量を受け持つことであり、ライフワークバランスとか言っている人たちには「給与と出世を諦めてください」「それだったら残業もしないで結構です」と告知する制度です。
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