2025年4月号『ざ・総括。』の記事【SDVとは何か?】がnoteから購入できるようになりました

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【SDVとは何か?】

これはIT業界からの侵略か!?

自動運転用のAI(人工知能)やカーOS(基本ソフトウェア)を中心にSDV(=ソフトウェア・デファインド・ビークル)という言葉が使われている。直訳すると「ソフトウェアによって定義されるクルマ」だが、これは何を意味するのか。推進派は「自動車という機械のソフトウェアを逐次更新することで新しい機能や価値を追加できる方法だ」と言う。思い浮かぶのはパソコンやスマホのような「ソフトウェア自動更新」による課金で、これによって「クルマを買い換えなくてもどんどん便利になる」と宣伝している。だが、「そうとは思えない」と本誌評価陣は語る。

増えすぎたECU

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 最近はSDVという言葉があちこちで聞かれるようになった。この言葉を直訳すると「ソフトウェアが定義するクルマ」だが、これは一体何なのだという思いになる。そこで今回は「SDVとは何か」を議題にする。ゲストに技術調査のベテランF氏と、某サプライヤーで開発を担当しているK氏のお二人を招いた。F氏はもう何度かこの会議に出席していただいている。K氏はオレの仕事仲間だ。

某サプライヤーの開発担当(以下=K) よろしくお願いします。SDVの話にいく前に、自動車はどうやって動いているかを確認しておきます。いまやクルマのICE(内燃機関)もBEV(バッテリー電気自動車)の電動モーターも、すべて車載コンピューターからの指令で動いています。EPAS(電動パワー・アシスト・ステアリング)も、ドライバーのステアリング操作をセンサーが読み取り、操舵角速度と操舵量をベースに、そのときの車速や車両姿勢と照らし合わせながらパワーアシスト用の電気モーターを回転させ、あらかじめ決められたプログラムで前輪の向きを変えています。ダンパー減衰力との協調制御を行なっているEPASもあります。この制御作業を行うコンピューターが、ステアリング機構内のECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)です。

技術調査のベテラン(以下=F) いまや車載ECUの数は70〜80個、多い場合になると100を超えます。ICEや変速機といった「機械的な動作をするもの」、いわゆるアクチュエーターには、たいがいECUが備わっています。メーターパネルの中にもパワーウインドウのスイッチの中にも当然入っています。そしてECUの中には、クルマの安全性にかかわる領域を監視するためのものがあり、現在ではVSC(ヴィークル・スタビリティ・コントロール)またはESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)と呼ばれる、駆動系とステアリングとブレーキ系を統合することで車両姿勢を安全に保つ機能の中に入っています。

元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 日本語で言う「横滑り防止装置」ですね。VSC/ESC系の制御が入るときはICEや電動モーターの出力、変速機の変速段切り替え、ブレーキの動作はすべてVSC/ESC内のECUがコントロールします。優先権はVSC/ESC系にあります。これがいわゆる協調制御や統合制御です。

チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 我われのようなアフターマーケットでのチューニングでは、ICEの燃料噴射タイミングや燃料と空気の比率(空燃比)を変えるために、ECUが使う情報源であるROM(リード・オン・メモリー)の中身を書き替えていた。それがROMチューンだ。ECUは純正品をそのまま使う。それとECUが使うプログラムそのものを書き替える、またはECU自体を交換するという方法もある。

自動車業界の事情通(以下=通) そういうチューニングがだんだん難しくなってきた背景は、ECUの数が増えたことと、複数のアクチュエーター間での統合制御、たとえばICEと変速機の協調制御のような連携が増えたことだね。ROMチューン自体は違法ではない。排ガス中の規制成分が規定値以内ならROMチューンだろうがECUチューンだろうが合法だ。型式指定は個々のクルマの空燃比や圧縮比を指定しているわけじゃない。排ガスが規定以内ならOK。モード燃費は排ガス測定時にカーボンバランス法で計算して出す。いずれにしても検査内容は排ガスだ。

ベテラン実験ドライバー(以下=T) しかし新しい規制が入る。外部からのハッキング対策だ。ECUが不正アクセスと判断した場合は信号を拒否する。この機能が入ってくるとROM/ECUのチューニングはかなり難しくなるだろう。だからアルピナはBMWのチューナー業から撤退する。もともとのユニット情報が入っていない、まっさらの状態でならどんなプログラムが入ったROM/ECUでも装着できるが、すでにオリジナルが装着されている場合は書き替えができなくなる。

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