日産社外取締役は自らの
責任を認め辞任すべきだ
日産自動車の内田誠社長が、3月をもって代表執行役を退任する。また、6月の同社株主総会後に取締役を退任することも決まった。後任には4月1日付でイヴァン・エスピノーサ氏(現チーフ・プランニング・オフィサー)が代表執行役社長に就任する。
内田氏は業績悪化の責任をとって、代表執行役社長を退任するが、注目すべきは取締役会だ。中でも取締役会議長、社外取締役で構成する指名委員会、監査委員会、報酬委員会委員の責任は重い。
木村康取締役会議長、永井素夫監査委員会委員長、井原慶子報酬委員会委員長とアンドリュー•ハウス指名委員会委員長は、高額な報酬をもらいながら、日産自動車の業績不振について自らの責任を取らないのだろうか。同氏らは、内田氏が社長に就任する以前から取締役に就任し続けている(永井氏は社外監査役も含め11年、木村氏は6年、井原氏は7年、ハウス氏は6年)。
聞けば、報酬委員会は内田氏の報酬についても厳しい態度で臨んでいるとみられる。
株主総会に向けて、日産は4月上旬に取締役会を開催し、6月に開催される株主総会に提案する2025年度の取締役人事を決定する模様だ。
内田氏の責任を問うなら、会社を監理監督し、執行役の仕事ぶりをつぶさにチェックしてきたであろう社外取締役も責任を問われて当然である。執行側の責任を追及することだけが、社外取締役の仕事ではないはずだ。この際、内田氏の社長就任前から在職している社外取締役は全員辞職を申し出るべきである。
まさか全ての責任を内田氏に転嫁して、自分たちは株主総会で内田氏に全ての責任をなすりつけた釈明をし、自らの責任を棚に上げて、残りの任期(最大8年)を全うしようと考えているわけではあるまい。
公開されている資料を読む限り、社外取締役が任期8年を全うすれば総額2億円近くもの報酬を得ることになる。月に1’.2回程度の取締役会や関連する会議に出席するとなれば、時給換算すると10万円超になるのではないか。庶民感覚からすれば途方もない金額だ。
メディアは内田氏の報酬を問題視したが、そうであるなら日産の社外取締役の多額の報酬の是非と監督責任を追及すべきだろう。
社外取締役は株主総会での承認を経て就任する。解任も同様だが、執行役を監視する立場の社外取締役が、株主総会で否認されることはほぼない。事実上、株主の監視の目は機能していない。その分、自らを律する強い倫理観が求められる。果たして日産の社外取締役は経営責任を果たすことができるのか。株主総会に向けて注視しなければならない。よもや責任を内田氏1人に押し付けることがあってはならない。
文/神領 貢(マガジンX編集長)