オートエキスポとして独立開催されていた当時に比べて出展する完成車メーカーは増えているが、1月17日に開幕した「バ—ラト(ヒンディー語でインドの意味)・モビリティ・グローバル・エキスポ2025」の一部として開催された「第17回オートエキスポ(通称デリーオートエキスポ)2025」に四輪車として出展していた日系ブランドは、スズキ、トヨタ(含むレクサス)、いすゞのみであった。
海外ブランドを見ても、タイやインドネシアのショーには多数のブランドが出展している中国系でも、乗用車ではBYDオート(比亜迪汽車)とMG(上海汽車系)、欧米系ではメルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、スコダ程度で、かなり限定的だった。ほかにインド国内で新車販売しているブランドがないわけではない。統計を見れば、ホンダやフォルクスワーゲン、日産、ルノーなども名を連ねている。アメリカ系のGM(ゼネラルモーターズ)とフォードはインド市場から撤退しているが、市内の道路を見れば会場出展ブランド以外のモデルも多数見かけることができる。
ショー会場にブースを構えないことについてはブランドごとに事情は異なるのだろうけれど、広く聞く話としては販売シェアとの関わりがある。インド国内における新車販売では、2023年度締めでもスズキが41.7%という高いシェアを誇ってトップに。次いで、韓国ヒョンデ、インドのタタ、マヒンドラ・マヒンドラ、そしてトヨタと続き、上位5社を合計した販売シェアは86.8%に達している。ちなみにホンダは2.1%、日産は0.7%、フォルクスワーゲン1.0%。つまり、上位5ブランド以外は販売シェアが極端に少なく、自動車ショーであえて出展ブースを構えたところで、広く消費者に販売拡大するための費用対効果は期待できず、その予算をブランドに興味のある消費者に絞り込んで個別イベントを開いたほうが効率的に優れていると判断しているのではないかという。
街を歩けば、走っているクルマはスズキ車が大半で、あとはトヨタ、ヒョンデ、タタ、マヒンドラと、確かにショーでブースを構えているブランドを多く見かける。
ただ、オートエキスポが「バ—ラト・モビリティ・グローバル・エキスポ」傘下になってからは政府主導になったこともあるのか、出展を控えていたメルセデス・ベンツやBMWも再びブースを構えるようになった(インド国内の販売戦略も変わってきているようだ)。
世界第3位の自動車市場と呼ばれているインドだが、その成長は留まるところを知らない。人口では中国を抜いて世界一になり、自動車市場もまだまだ成長が期待されていることは間違いない。中国が景気低迷にあえいでいることもあり、世界の自動車メーカーがインド市場に、より熱い視線を寄せていることを会場内を歩いて感じた。