トヨタとダイハツは共同会見を行い、3月1日付で社長交代をはじめとする取締役人事を発表した。
退任する奥平総一郎社長からバトンを引き継ぐのは、現在トヨタで中南米本部長を務めている井上雅宏さんだ。井上さんは入社36年目で、これまでの会社員人生の半分以上を海外で過ごしており、いまはブラジル・サンパウロに駐在しているという。
会見でトヨタの佐藤恒治社長は「ダイハツは軽自動車を事業の軸に置き、焦らずステップを踏んで(再建を)進めていく」と語った。海外向け商品についてはトヨタからプロセスごとに委託するカタチとし、「ダイハツの負荷を考え、トヨタで行えることは自前で行う」「小型車づくりへのリスペクトは失われるべきではない」とした。
井上次期社長は「ダイハツのここ10年の成長は強みが発揮されたから。しかし、業務の質と量が拡大し、現場の声を拾えていなかった。現場に出向いてホンネで話し合い、対話していきたい」「奥平社長とも話して『ダイハツは技術力と競争力のある会社』と聞かされた。トヨタとダイハツ、それぞれの強みを合わせて進めていきたい」と抱負を語った。
なお、今回の人事では松林淳会長も退任し、会長職を廃止する。「両名は引責辞任なのか」と質問された佐藤社長は「ダイハツ本来の姿を取り戻すための人事」として引責辞任ではない旨を強調した。
星加宏昌副社長からも辞任の申し出はあったというが「ダイハツをずっと見てきて課題もわかっている」との理由で続投が決まった。また、トヨタ自動車九州で副社長を務めてきた桑田正規さんも副社長に就任する。
なお、今回の不正問題を受けてダイハツはCJPTから脱退することを決め、CJPTに出資している10%の株式をトヨタに譲渡する。ただし、年度内に発表予定だった電気商用車(eハイゼット)のプロジェクトには引き続き参画する。