発電時の静粛性が高まったセレナe-POWER

スポンサーリンク

22年11月の発表から約半年が経過し、6代目にあたる新型セレナの受注台数は4万7200台を突破した。なかでもe-POWERは先代のモデルライフ途中に追加された時と比べて受注ペースが早く、すでに2万5000台を超えている。
Serena_frSerena_rrSerena_intSerena_panel

Serena_engine発電用エンジンにはe-POWER専用のHR14DDe型1.4L直3が初めて起用されている。従来の1.2Lユニットと比べて出力は16%上がり、日産初の1次バランサーシャフト、剛性が低くて柔らかいフレキシブル・フライホイールといったアイテムが用いられて振動を抑制。また、従来2400rpmに設定されていた最良燃費点が2000rpmに変更された効果も大きく、発電時にエンジンが唸る傾向は大きく改善された。徹底した遮音も効果を発しており、発電が始まると残念な気分になってしまうことが多かった先代とは大きく印象が異なる。

充放電制御はナビとも協調している。具体的には、目的地の近くでEV走行できるよう、前もって充電。また、下り坂で十分に回生してエネルギーを回収できるよう、手前でバッテリーを活用して放電しておく制御も織り込まれている。

モーターの駆動力が立ち上がる瞬間の動きも滑らかで、クイッと身体を持っていかれて首が揺れることもない。

Serena_propilotもうひとつ新型セレナの大きなセールスポイントに掲げられているのが、車速と車線維持を支援するプロパイロットの拡大採用だ。今回のモデルチェンジで全車に標準化された。さらに、最上級グレードのルキシオンにはプロパイロット2.0が備わっている。かつてスカイラインで実用化されたように、この2.0は高速道路でのハンズオフ走行が実現可能で、自車より遅いクルマを追い越す際の車線変更もアシストする。

ただ、セレナへの搭載は容易ではなかったようだ。実験担当者は「スカイラインは重心が低くて車両挙動と応答性が優れているが、背の高いセレナでは同じようにはいかなかった」と振り返り、「アイポイントが高いため、滑らかに制御しないとハンズオフ走行時に(乗員に)不安を与えてしまう」として、作り込みに苦労した経緯を説明する。

初期応答性を高める一環としてルキシオン専用のタイヤも開発された。しかし、これが相反して車内の空気の振動を助長している部分もあって耳に低音の圧を感じる場面もあった(ハイウェイスターVでは気にならなかった)。実験担当者に確認したところ、この空気の振動はハッチゲートの共振が原因で競合車にも見られるそうだ。他グレードと比べてルキシオンで現象を感じやすい点も「承知している」とのことなので、商品力アップに向けて改善策が検討される可能性が高い。
Serena_hatch

2列目を3人掛けのベンチシートに切り替えられるセレナ独自のマルチセンターシートがe-POWERにも追加されて乗車定員が8名に増えた点も朗報だ。先代は「家族と楽しめるクルマ」の印象が低下してしまった反省があったというが、向上した技術とともに、こちらのイメージ回復も実現するに違いない。
Serena_2ndseatSerena_luggageSerena_under

なお、プロパイロットパーキングとプロパイロット2.0を試した様子を動画に収録したので、併せてご覧ください。
セレナバナー

主要スペック(ハイウェイスターV)
●全長×全幅×全高:4765mm×1715mm×1870mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1810kg
●パワートレイン:電気モーター(163ps/32.1kg-m)&発電用1.4L直3(98ps/12.5kg-m)
●WLTCモード燃費:19.3km/L
●駆動方式:FF
●税込み価格:368万6100円(オプションを含まず)

スポンサーリンク