車重150kg増で乗り味が落ち着いたプリウスPHEV

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5代目プリウスの最高峰モデルにあたるPHEVが3月1日に発表され、同15日に発売された。税込み価格は460.0万円。
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外部から充電することで一定距離を電気だけで走行できるPHEVは搭載するバッテリー量と車重、そして価格のバランスが問われる商品だ。新型ではリチウムイオン電池の容積をそのままにセルが25Ahから51Ahに改良され、セルの数は95個から72個に削減。その結果、容量は1.5倍に増えて満充電時のEV走行距離(カタログ値)は87km(17インチタイヤ選択時は105km)に伸びた。
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バッテリーはラゲッジ床下からリアシート下に移設されたが、これは重心を下げて運動性能を高める狙いに基づいており、実現に向けて開発陣も苦労したようだ。SUVと違って床下の空間が狭い点が最大の難点だったようで「バッテリーの構造を2階建てにして搭載を実現した」と開発関係者は説明する。
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priusPHEV_eng排気量が2Lに拡大されたM20A型エンジンは基本的にHEVと共通だが、バランスシャフト追加によって稼働時の滑らかさが改善されて存在感が抑えられている。また、PCU(パワー・コントロール・ユニット)の昇圧コンバーターはHEVと同じ容積のまま、より大電流を流せるよう発熱を抑制。日常域の動力源でもあるモーターはHEVの113ps21.0kgmから163ps21.2kgmにパワーアップしており、EV走行時でも十分にパワフルだ。参考までに、システム出力は223psに達している。
余談ながら、先代PHEVには発電用モーターを一時的に駆動に加勢させるワンウェイ・クラッチが採用されていた。発表時にトヨタは大々的にアピールしていたが、新型は駆動用モーターの出力が向上したことで、この機構は廃止された。

比較試乗した先代PHEV(17インチタイヤ装着。銘柄はブリヂストンのエコピア)と比べてロードノイズは抑えられているが、高速道路ではAピラー付近で発生する風切り音が気になった。もちろん、全高とヒップポイントが下がったことによるキビキビ感は向上しているが、一方で開放感や見晴らしの良さは先代のほうが良好だった。

priusPHEV_modeエコ、ノーマル、スポーツの3段階に切り替えられるドライブモードは健在で、やや腕を引いて操作する必要はあるが、センターコンソールに設置されたトグルスイッチで簡単に変えられる。ただ、モードごとの違いは先代のほうが顕著でわかりやすく、基本性能が向上した新型では存在意義が見出しにくいのが正直なところ。言い方を変えれば、新型はノーマルモードで乗っても満足できるレベルにある。

乗り心地に関しては19インチタイヤを履いていることを加味すれば、良好と言えるだろう。新型同士で比べてPHEVはHEVより150kg重いため、路面の細かい凹凸を“いなす”傾向がある。HEVのほうが神経質で揺すられる傾向が強い。

先代と違って外観デザインの大幅な作り分けは見送られた。HEVと異なるのはホイール、フロントバンパーのガーニッシュ色、リアコンビランプのレンズ色など、ディテールのみ。ただ、HEVを取り上げた時にも触れたように、運転席まわりのスイッチ類の仕上げやラゲッジ床下の発泡スチロール製トレイなど、コンセプトの『クリーン&シンプル』を通り越して質感の低さを感じさせてしまう点は開発陣からも反省の弁が聞こえているため、何らかの改善が検討されているようだ。
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