街乗りじゃだけモッタイナイ。ヤリスクロスの機動性

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ヤリスクロスは成長し続けるBセグメントSUV市場でのシェア獲得を狙ってトヨタが8月31日に発売した新型車だ。GA-Bプラットフォームの頭出しモデルとしてリリースされたヤリスと並行して開発され、シャシーなどの基本コンポーネンツは共有されている。
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車名にヤリスが含まれているとはいえ外観デザインは別モノで、170mmの最低地上高が確保されるなどSUVらしい出で立ちが完成している。インテリアはインパネ上半分がヤリスと共用されているものの、下半分は専用設計。
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パワートレインはヤリスと同じ1.5L直3(120ps/14.8kg-m)および同ハイブリッド(システム出力116ps)から選択可能で、どちらにも4WD車が設定されている。方式はガソリン車がプロペラシャフトによるメカニカル式、ハイブリッド仕様は後輪をモーターで駆動する電気式で、ともに意外に(と言ったら叱られるかもしれないが)高い走破性を持ち合わせていて見掛け倒しの“なんちゃってSUV”にとどまっていない。
センターコンソールに設置されたダイヤルを操作すれば、ガソリン車は駆動輪が埋もれないようトルクを出し続ける「マッド&スノー」、「ノーマル」、空転輪にブレーキが介入して接地輪に駆動力を配分する「ロック&ダート」の3モードに、ハイブリッド仕様は「ノーマル」とブレーキが介入する「トレイル」の2モードに切り替えられる。
車輪が宙に浮いて空転する状況で試乗したところ、モードを切り替えることで空転する車輪にブレーキがかかり、接地輪にトルクが配分されて進むことができた。このほか、滑りやすい下り坂でステアリング操作に集中できるヒルディセント・コントロール、発進時の後ずさりを防ぐヒルスタート・アシストも装備されている。
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ハイブリッド仕様はトヨタが長年に渡って使い続けているTHS-IIの強みが現れていて静かに発進し、丁寧なアクセルワークを心がければそのままスピードに乗っていける。途中でエンジンが始動して動力源が切り替わるが、そのサウンドはヤリスと比べて心なしか耳につく。開発関係者に確認したところ、ヤリスより車重が重い分エンジン回転数が10%ほど高く設定されているというので、これが影響しているのかもしれない。
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一方のガソリン車には発進用ギアを有するCVTが組み合わされており、停車状態からの発進時にエンジン回転数がムダに上がって騒々しく感じてしまうCVTの弱点が解消されている。ハイブリッド仕様より50kg軽いおかげでハンドリングも含めて軽快に走ってくれるが、その代わり(?)道路の継ぎ目など段差で拾うショックは大きめ。
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ハンズフリー電動ハッチゲート、センター部のみ前倒しして長尺物を積める4:2:4分割のリアシート、上下に位置を変えられる床面ボードなど、ラゲッジまわりの使い勝手を高めるアイテムも揃っている。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用した安全デバイスやアダプティブ・クルーズコントロール、車線維持支援システムといった装備が最廉価グレードを除く全車に標準化されているのも朗報だ。
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主要スペック(ハイブリッドZ)
●全長×全幅×全高:4180mm×1765mm×1590mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1190kg
●最小回転半径:5.3m
●パワートレイン:1.5L直3ハイブリッド(システム出力116ps)
●駆動方式:FF
●WLTCモード燃費:27.8km/L
●税込み価格:258万4000円(オプションを含まず)

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