財務省に単独取材敢行!!自賠責保険積立金運用益3年連続繰り戻し 「努力を必死で続けていく」

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「返すべき」の認識はある

令和2年度予算編成も佳境を迎えている。例年どおりであれば各省庁から持ち込まれたお金の使い道希望について財務省原案が示されるのが今月中旬頃。その後、政府案が閣議決定されるのが年末。新年早々から国会で来年度予算審議が始まるといったスケジュールになる。

本誌が10年以上前から指摘している自賠責保険の積立金運用益6000億円超(今年度末見込み6122億円)の繰り戻し問題。一般会計に貸し出されたままになっている強制保険の積立金運用益は、自賠責保険に否応無しに加入させられ、毎年保険料を支払っている私たち自動車所有者のお金だ。財務省も保険料の原資が「一般的な財源とは異なる」(主計局国土交通第二・三係)と、持って回った言い方ながら税金とは違うことを認める。結論から言えば、麻生財務大臣も3年連続繰り戻しには理解を示している。ただし、繰り戻しの金額については明らかにできないとの立場だ。(繰り戻しの継続に向けて)「努力を必死で続けていく」(同)との言葉を信じたいものだ。

「民間には多額の内部留保があるのに政府にはない」(同)と恨み節も聞こえるが、貸したカネは返してもらわなければならない。マガジンX読者の皆様は先刻ご承知のとおり。数字や経緯を持ち出すまでもなく、完全自動運転の時代がやって来るまで継続して交通事故被害者救済を続けられるよう道筋を付けてもらわなければならないだろう。

本日の記者の取材でも「3年連続繰り戻しは当然として一般会計から積立金運用益をちゃんと返す道筋を付けて欲しい」と注文しておいた。

なお、自動車安全特別会計には、無保険車やひき逃げによる被害者救済立て替え金としての保障勘定と、自動車事故対策事業の元手となる自動車事故対策勘定のふたつがある。被害者救済事業はムダなく公平に運用してもらえばよいのだが、やはり合点がいかないのが自動車事故発生防止対策事業やアセスメント事業への支出だ。お金の透明性を保ち、費用対効果を見極め、事業主体はどうあるべきかを、強制保険加入者にしっかり情報開示できないようなら、多額の所有者負担に苦しむオーナードライバーは浮かばれない。

日本を支えるクルマ産業を守るためにクルマを代替しろ、と言われても、所有者にとって世界一負担の大きい現状のもとでは、クルマを維持することさえままならないのだから。

 

取材・文/神領 貢(マガジンX編集長)

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