マツダの「いつかきた道」
マツダのモノづくりは明らかに進化しています。一括企画で「走る曲がる止まる」の基本部分を高い次元で確立する。そのイノベーションを普及モデルにまで反映させていく。しかも年次改良によって、見えない部分をさらに改善していく。この手法に一定の支持が集まっているわけです。マツダの限られた開発リソースで、今の車種展開を維持するためのベストな手法だと思います。
一方で、このやり方はユーザーから「見えない」ところもあるため、営業現場での訴求に難ありの部分もあります。分かる人には分かるが、分からない人には今ひとつ響きません。
マツダは先ごろ将来、「200万台を売る」ことを宣言しました。量を売るにはクルマ好きではない人にも売らなければならないわけで、そうなると見た目や装備の割安感と言った演出にも力を入れなければならない。
だけれども、これはマツダが「いつかきた道」と重なる考え方です。マツダがかつての5チャンネル体制で間違った手法を取った結果、粗製乱造の悪循環に陥ったのを、私は今でも鮮明に覚えています。
マツダらしさを「磨き上げた走りと圧倒的なスタイリング」に求めて経営危機を脱した先にも、地に足をつけた取り組みを続けて欲しいものです。