これまでのG’sに代えてトヨタが新たなスポーツカーブランド「GR」を立ち上げた。
GRはトヨタの中で最小のカンパニーにあたるGAZOOレーシングカンパニーがニュル24時間レースなどを通して得てきたノウハウや知見を活かして開発。エンジンにも手が加えられた台数限定の「GRMN」を筆頭に、スポーツモデルの「GR」、より気軽にスポーツドライブが楽しめる「GRスポーツ」がラインナップされる。
第1弾として本日発売されたのはプリウスPHV、ハリアー、マークX、ノア/ヴォクシーの各GRスポーツと、ヴィッツのGRおよびGRスポーツだ。この後、冬にアクアとプリウスαのGRスポーツ、86-GRが、そして18年春に本誌マガジンXでもスクープしてきたヴィッツGRMNがリリースされる予定だ。
GRシリーズの立ち上げに伴って専任スタッフ配備の「GRガレージ」が新たに展開される。年度内に全国39拠点が開設される計画だ。なお、これによってAREA86は役目を終えて年度内に全店クローズとなる。
GAZOOレーシングカンパニーのプレジデントを務めている友山茂樹・専務はプレゼンの中で「GRはグローバルに展開していく。まずはWRCラリーでヤリスの知名度が上がった欧州から。ヤリスGRMNは400台を限定販売する計画だが、すでにそれを上回る予約が入っていて完売する見通し」「いずれはスポーツカー専用プラットフォームを開発して世界に通用するピュアスポーツを投入したい」と説明した。また、モータースポーツ活動に関しては「予算や景気に左右されるべきではない。永続的に続けることが大事」との思いを語った。
GAZOOとは中古車画像検索システムの名称に由来しており、「トヨタ」を名乗ることのできない、いわば“規格外”のサービスや活動に与えられてきた経緯がある。モリゾウこと豊田章男・社長が自ら参戦したニュル24時間レースでもトヨタの名を掲げずにGAZOOレーシングのチーム名で取り組んできたのは、一種のイレギュラーな活動だったから。今日の発表会にサプライズで登場したモリゾウさんは「海外のメーカーは数年後に出すクルマをカモフラージュさせて走っていたニュルで、トヨタはすでに販売を中止した中古のスープラで走るしかなかったのが悔しかった」と、腕を磨く過程で悔しい思いをし、それが今日のモータースポーツ活動や最新のGRシリーズ展開への原動力につながったことを振り返った。