日立オートモティブシステムズは、出力密度を従来比11.25倍、エネルギー密度を従来比11.5倍に向上したマイルド・ハイブリッド車両向け48Vリチウムイオン電池パックを開発。今後自動車メーカーへのサンプル供給を開始し、2019年度から量産を開始すると発表した。
これまで電池の出力密度を高める方法としては、セルの電極の膜厚を薄くして抵抗を減らすことが一般的だった。ただしこの方法の場合、出力密度が高まる代わりに蓄えられるエネルギーが減ってしまうという課題があったのだが、今回の新しいリチウムイオン電池パックでは、セルの電極の構造をミクロンレベルで改良し、リチウムイオンが流れやすい構造にすることで薄くしなくても抵抗を低減し出力密度を高めている。 また、正極、負極それぞれの材料組成を改良して、単位重量あたりに蓄えられるリチウム量を増加させることでエネルギー密度も高めている。さらには、電池セルの内部抵抗を抑えて発熱量を低減したことに加えて、リチウムイオン電池パックの筐体に熱伝導性や放熱性の高い金属を採用したことにより、冷却用ファンが不要で設置の自由度を高める薄型化を実現。静粛性向上にも貢献する。
出力密度の向上により、モーターの加速アシストにおけるトルク性能は最大出力12kW以上を実現し、発進時の力強い走りを可能にしている。また、最大入力は15kW以上となり、急減速時に生じる瞬間的な大きな回生エネルギーも回収可能としていて、エネルギーの損失も低減している。
同社では、マイルド・ハイブリッド車両の生産台数はグローバルで2016年の約45万台から2023年には1280万台を越えると予想しており、とくに欧州や中国では比較的安価で燃費を改善できる技術として48Vリチウムイオン電池によるマイルド・ハイブリッドシステムが急速に普及すると見込んでいる。なお同製品は、5月24日(水)〜26日(金)にパシフィコ横浜にて開催される自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展」に出品される。
■会社概要
日立オートモティブシステムズ株式会社
事業内容:自動車部品および産業用機械器具・システムの開発、製造、販売およびサービス