日産自動車が2016年度の決算を発表した。売上高は11兆7200億円(前年度比3.9%減)、営業利益は7422億円(同6.4%減)、当期純利益は6635億円(同26.7%増)だった。
グローバル販売台数は前年度より3.7%増えて562万6000台に達した。なかでも大きく伸びたのは中国(8.4%増の135万5000台)と北米(5.9%増の213万台)で、日本国内は2.6%減の55万7000台に終わった。国内での販売減少は軽自動車の販売停止が大きく影響を及ぼしたという。
前述したように中国での販売は好調だったが、全体需要の伸び(13.2%)に対して日産の伸びは控えめだった。これについて西川廣人CEOは「中国現地のブランドが実力をつけて伸びているのに対し、(日産が擁する)ヴェヌーシアが伸び悩んだため」と説明。また、中国市場に関しては「競争激化で収益性が落ちてきている」としたものの、ヴェヌーシアの強化とプレミアムブランドであるインフィニティの存在感を強めることで幅広い需要に応えていく姿勢を示した。来年には現地向けに廉価なEVを投入することも明らかにした。
今年度の目標は売上高11兆8000億円(前年度比0.7%増)、営業利益6850億円(同7.7%減)、当期純利益5350億円(同19.4%減)、グローバル販売台数583万台(同3.6%増)。営業利益が目減りするのはカルソニックカンセイがグループから外れた(前年度425億円の貢献)ことに加え、原材料費の高騰(900億円相当)、英ポンドやカナダドル、タイバーツなどの為替悪化(600億円)を見込んでいるためだ。ちなみに通年の為替レートは1ドル108円、1ユーロ118円で、前年並みを想定している。
なお、6年にわたって遂行してきた中期経営計画「日産パワー88」は終結したが、目標に掲げていたグローバルシェア8%は達成できなかった。「次の中期経営計画では確保できる。カギを握るのは中国市場で、現状の5%から8%に高められたらグローバルシェアも8%に上がる」(西川CEO談)見通しだ。
もう一つの目標だった営業利益率8%に関しては「為替レートの影響を除けば達成できるレベルになった」(西川CEO談)との説明どおり、為替を除くと8.3%に届いているが、為替も加味すると6.9%にとどまる(いずれも前年度の数値)。今後はこうした外的要因や経営環境の影響を織り込んだ上で達成できるレベルに届くことが課題と言えそうだ。