Hondaの研究開発子会社である本田技術研究所は、今年4月に「ロボット技術」「モビリティシステム」「エネルギーマネジメント」などの新価値領域を担う研究開発組織として、「R&DセンターX」を新設する。
Hondaは創業以来、全ての人に「生活の可能性が拡がる喜び」を提供するという想いのもと、二輪車、四輪車、パワープロダクツなどの製品を通じて、世界中の一人ひとりの「移動」と「暮らし」を進化させることを目指してきた。
こうした取り組みを進める中で、人工知能やビッグデータをはじめとするデジタルテクノロジーの進化に伴い、従来以上に幅広いフィールドでの価値創造の可能性が拡がってきた。このような環境の変化を受け、Hondaは、「AI×Data×Hondaの強み」というコンセプトのもと、これまでの「モノづくり」に加え、人と協調する新たな価値をもった「モノ・コトづくり」に取り組むそうだ。
この新たなチャレンジに向け、従来とは異なるアプローチで、新価値領域を担う研究開発組織R&DセンターXを設置することになった。
当面の研究領域は、「ロボット技術」および「モビリティシステム」などの自律的に動く機械やシステムとなり、その総称を「ロボティクス」とする。ロボティクスの概念には、ロボットやモビリティシステムを動かすための「エネルギーマネジメント」も含まれる。また、ロボティクスの基盤技術として、「人と協調する人工知能技術」も研究していくそうだ。
「協調する」とは、「人の感情を理解し共感できること」「人に寄り添い、共に成長していくこと」「主役である人の可能性を拡大していくこと」の3つであると考え、Hondaは「人と協調する人工知能技術」を搭載したさまざまなシステムや製品・サービスを通じて、人の素晴らしさが際立つロボティクス社会の創造を目指していくという。
これを実現するために、オープンイノベーションを通じ、外部との戦略的な連携を図っていく。R&DセンターXの外部への窓口は、昨年開設したHondaイノベーションラボTokyo(以下、HIL‐TK)が担う。HIL‐TKは「人と協調する人工知能技術」と「クルマの知能化を目指したデジタル技術」の研究をメインテーマとし、R&DセンターXが担当する新価値領域のみならず、自動運転やコネクティビティといった既存領域も含めた研究開発を担当する。
さらに、R&DセンターXが、より高い視点とより広い視野をもって研究開発を進められるよう、アドバイザーとして、人工知能の第一人者であり、スタンフォード大学名誉教授でもあるエドワード・ファイゲンバウム博士と、日本の企業再生・新規事業創出で多くの実績がある株式会社経営共創基盤の冨山和彦代表取締役CEOが参加。
カーメーカーの領域を大きく変えそうなホンダのR&DセンターX。Xという名前もいいではないか。