ボルボ・カー・ジャパンはコンパクトBEV(電気自動車)であるEX30のラインナップを大幅に拡充した。これまで単グレードで約2500台が販売されてきた同車は一気に5モデルから選択可能になった。
トピックのひとつはSUVテイストを併せ持つクロスカントリー(649.0万円)が加わったことだ。97年にリリースされたV70 XCを発端とするクロスカントリーの歴史は今なお続いており、今回BEVにも追加された。
EX30クロスカントリーはボディ前後がツヤ消しブラックの専用デザインに仕上がっている。フロントパネルには北極圏にあるケブネカイセ山脈の地形図が刻まれていて遊び心を感じさせる。
また、Cピラーとリアバンパー下部にはCROSS COUNTRYのロゴが配されているが、これはV70 XCに用いられたロゴと同じ書体で、ヘリテージを重んじていることが伝わってくる。
19インチタイヤと専用アルミホイールを履き、最低地上高は既存モデルより20mm高い195mmに設定。これに合わせて前後サスペンションはEX30より柔らかめにセッティングされている。
内装ではウール30%と再生ポリエステル70%がブレンドされた素材と、バイオ素材の人工皮革がシート表皮に用いられ、インパネの化粧パネルには一年草で成長が早い亜麻(アマ)が使われている。
インパネ中央には大型インフォテイメント画面が配され、音声認識機能などGoogleのアプリが組み込まれている。アプリを使えば乗車前に空調を稼働させて航続距離への影響を緩和することも可能だ。
パワートレインは前輪に156ps/200Nm、後輪に272ps/343Nmの電気モーターを設置。バッテリー容量は69kWhで、WLTCモードでの一充電航続距離は500kmだ。
2つ目のトピックは500万円を大きく下回る479.0万円のエントリーモデルが加わったことだ。こちらにはリン酸鉄リチウムイオン電池(51kWh)が起用され、一充電航続距離は390kmをマーク。
これまで国内ボルボ商品群の中で最安値モデルはXC40のエントリーモデル(509.0万円)だったが、今回の追加モデル投入で「もっとも安いボルボはBEVになった」と同社の不動奈緒美 社長はアピールする。ただ、エントリーモデルでも安全装備はキチンと揃っており、不動社長は「価格によって安全性に差はつけない」とボルボらしい思想を力説した。
これと対極にあるのが前後ツインモーター搭載でシステム出力428ps/543Nm(前出のクロスカントリーと同じ)、0→100km/h発進加速をボルボ史上最速の3.6秒でこなすAWDモデルだ。こちらの価格は629.0万円。
既存のシングル(後輪)モーター仕様は559.0万円の単グレード展開から、539.0万円のPlusと579.0万円のUltraの2グレード体系に変更された。バッテリー容量69kWhと航続距離560kmは従来と同じだ。
Plusで省かれてUltraに備わる主なアイテムはプライバシーガラス、パノラマガラスルーフ、前席パワーシート。Plusには日本初導入のインディゴ内装が用意され、インパネの化粧ガーニッシュにはデニムのリサイクル工程で出た繊維が使われている。
ちなみに24年のボルボ国内販売を見ると、16%がBEVだった。同社は2030年までに新車を全てBEV化する目標を見直し、PHEVと BEVで販売構成比90%以上をめざす。ただ、2040年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする計画は維持している。
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