日産は新型リーフのうち、78kWhバッテリー搭載のB7を国内発表した。税込み価格は518万8700〜599万9400円で、デリバリーは26年1月から始まる。まだ補助金は申請中で金額は決まっていないが、仮に先代モデル並みに支給されたら購入者の実質負担額は430万円〜になるという。
55kWhバッテリー搭載のB5は26年2月頃に追加発表される予定で、こちらは「さらに手が届きやすく、補助金を含めた場合の実質負担額が350万円〜になるよう準備中」(日本マーケティング&セールス執行職の杉本 全さん)とのこと。
新型リーフにはアリアと同じCMF-EVプラットフォームが採用され、室内のフラットフロア化やファストバック・シルエットによってCd値0.26をマークしている。航続距離(WLTCモード測定値)は702km(19インチタイヤ装着車は685km)。
パワートレインはモーター、インバーター、減速機が一体化した3-in-1構造で、従来ユニットより10%小型化されている。
サスペンションは後輪にマルチリンク式が用いられ、日本の道路環境とユーザーの好みに合わせたチューニングが行われているという。
また、手元で減速時の回生力を調整できるパドルも新採用されている。
装備面では日産初の調光式パノラミック・ガラスルーフ、後述するバッテリーの温度管理とも連携しているGoogleマップ、プロパイロット2.0といったアイテムを用意。
熱マネジメントについて開発担当者の説明に耳を傾けた。その内容を要約すると、先代は空冷でバッテリーを冷やしていたが、新型では水冷によって能動的に冷やしたり温めたりしているという。配管を張り巡らし、不要なところで熱を集めて必要な部分へと運ぶ仕組みだ。
また、途中で経路充電する際には前もってバッテリー温度を最適化すべく、充電地点の手前から準備が行われる。道路の勾配や渋滞情報も加味したほうが、より厳密に温度管理できるため、よく知っている場所に向かう時でもナビで目的地を設定したほうが熱マネジメントがキメ細かく管理&制御されるとのこと。想像を遥かに超える回数で常に計算が行われるようだ。
ボディ下部にメタル調ガーニッシュが装着され、シグネチャーLEDランプや19インチ専用アルミホイール、ブルーステッチが目を引くブラック基調のインテリアが特徴的なAUTECHも継続設定。こちらの税込み価格(B7)は651万3100円。ベース車と同じく、追ってB5も加わる予定だ。
都内で行われた報道発表会では噺家である柳亭 小痴楽(こちらく)さんが、リーフにホレた男性が「まだEVは早すぎる」と抵抗する妻を説得していく落語を披露。合間に日産関係者がステージに上がってプレゼンテーションを行い、それを受けて落語が続いていくという展開だった。最後には「(リーフに乗せられる前に)アナタの口車に乗せられた」と妻が観念するというオチで終わり、会場からは拍手が湧き起こった。
開発を取りまとめたチーフビークルエンジニアの磯部博樹さんは「航続距離、充電時間、充電インフラの3つの不安の払拭にチカラを入れた」と語った。
執行職の杉本さんは「“私にはまだ”を“そろそろEVもいいかも”に変えていきたい。EVのワクワクを一人でも多くの人に届けていきたい」とコメントした。BYDなど海外勢が日本市場に参入している実態については「EV市場が盛り上がることは歓迎。その中で日産としての存在感を出していきたい」とした。まだまだEVに対してはネガティブな見方もあるが「(エンジン車など)いろんな選択肢がある中で、どうやって戦っていくのか考えていく」と前向きな姿勢を見せた。
経営再建中で決して楽観視できる状態ではない中、活気と元気を感じさせる発表会だった。15年前に初めてEVを発売して以来、地道に続けてきた取り組みを信じて今後も頑張ってほしいものだ。(下の写真は会場に置かれていた初代と2代目)