ダイハツがアトレー／ハイゼットカーゴを17年ぶりにモデルチェンジし、発売した。税込み価格はアトレーが156万2000～182万6000円、ハイゼットカーゴが104万5000～160万6000円。月販目標台数はアトレーが1000台、ハイゼットカーゴが5700台。
労働人口の減少による働き手の多様化（女性や高齢者の増加）と働き方の多様化を背景に、軽商用車の果たす役割は大きい。とくに近年はネット通販の伸びに伴って軽商用車は荷物のラストワンマイルに欠かせない存在となっている。
こうした背景に合わせて新型はクラス最大の積載スペースを確保するために荷室の側面と床面をフラット化。また、ウインドウ昇降ハンドルを廃止し、シートベルト・リトラクター（巻き取り機構）の構造を見直すことで荷物を傷つけることなく、効率よく積める空間が作り出された。
DNGAが反映されてFR用CVTが新開発されたことで燃費と静粛性が向上した。ハイゼットカーゴのWLTCモード燃費は15.6km/Lに達し、商用CAFE（企業平均燃費）規制の基準値にも対応している。
安全面ではスマートアシストが進化し、二輪車と夜間の歩行者も検知対象に加わった。MT車にもブレーキ制御付き誤発進抑制機能が加わり、車線逸脱抑制制御機能や路側逸脱警報機能、ふらつき警報、標識認識機能も含まれる。
使い勝手の面ではキー操作が不要なキーフリーシステム、ウェルカムオープン機能を含む電動スライドドア、荷物満載時にも後方視界が確保できる電子ルームミラー、コネクト対応の画面付きオーディオが用意されている。
ファミリー層がタントやウェイクなどの背高ワゴンに移行したことで、アトレーは荷室を最大限に活用できるよう4ナンバー化された。販売現場では車中泊やアウトドアレジャーでの使い方を提案するディスプレイが行われるだろう。
タフな使い方も可能なデッキバン（車体後ろ半分が荷台）にターボエンジン搭載のアトレーが加わったのも朗報だ。
トラック（90万2000～145万2000円。月販目標6000台）にもマイナーチェンジが施され、フロントマスクが変更されて新型ハイゼットカーゴとの関連性を演出。リアではバックソナーやコーナーセンサーがコンビランプとともにガーニッシュにまとめられてスッキリ感が向上した。内装ではインパネにアッパートレイが、メカではCVTが新採用された。ボディカラーに初代ミゼットを彷彿とさせるアイスグリーンが加わったのも見逃せない。
なお、ハイゼットトラックの中で販売構成比20％を占めるジャンボにはスタンダードグレードが追加されて2グレード展開になった。このジャンボはオーバーヘッドシェルフ、リクライニング可能なシート、専用ボディカラーのファイアークォーツレッドMが主なポイント。
記者会見に臨んだ奥平総一郎・社長は新型アトレー／ハイゼットを「ユーザーに寄り添う」「良品廉価」のキーワードに即して開発してきた旨を説明した。
また、カーボンニュートラルに向けた電動車拡大のロードマップも明らかにした。それによると、ロッキーで初搭載したeスマートハイブリッドを軽自動車にも展開し、2030年には国内で売る新車を100％電動化する（BEVとは限らない）。eスマートハイブリッドの知見を生かしたBEVも開発し「2025年には商品化したい。購入時のユーザー負担額は100万円台にしないといけない」と語った。
トラックのリニューアルに合わせ、ダイハツは実証実験を行っているNibakoプロジェクトを22年半ばにも本格展開する。これは移動販売を始めたいけれど初期投資などの負担が大きくて踏み出せない事業者を応援するプログラムで、荷台に載せる「箱」を提供することで低価格かつフレキシブルに使える。リースやレンタルで気軽に始められ、全国のダイハツ販売店でサポートを受けられる点も利点に掲げられる。
すでに一部地域で実証実験が行われている（車両は旧型）
