
国内市場の縮小で
工場廃止に現実味
昨日、マツダの防府工場に行ってきました。ものづくりのたくさんの工夫についてはマガジンx9月号で詳報します。
ところで防府工場の昨年度生産台数は約35万台でした。マツダ全体の販売台数は130万台でした。
防府工場は2本の生産ラインを作った時、「年産100万台規模の最新鋭工場」と、マツダは胸を張ったものです。
広島市内の本社工場(宇品工場)が主にスモールカー、防府がラージ商品群の作り分けをしていますが、現状は過剰生産能力状態です。
私はマツダの役員に「古くなった防府の第一生産ラインを廃止すべきではないか」と質問しました。もちろん「今後も第一ラインを活用していく」趣旨の発言がありましたが、アメリカを初めとする海外への生産移転が進めば、近い将来、この問題が再燃する可能性はあります。もしかしたら中では色々と検討されているかもしれませんね。
グループのトヨタ自動車がマツダの国内工場に50万台くらい生産委託してくれれば、防府の稼働率も上がるのですけどね。
2027年からはパナソニックエナジーから電池供給を受け、岩国市にバッテリーのパッケージ化と、円筒型電池のモジュラー化を行う工場が新設されます。
来たるべきバッテリー電気自動車時代への対応を考え、宇品と防府の中間地点である岩国市に場所が落ち着きました。
が、ICEにこだわってきたマツダの作るEVにどのくらいの競争力があるのか、得意の混流生産ですが、狙った台数を作ることができるのか注意深く見守らなければなりません。
国内工場の余剰感と言えば、三菱水島、ホンダ鈴鹿もホンダと日産の合流が実現していれば、当然、工場集約の話題が出るはずでした。「追浜で軽自動車を作る」構想も、日産の経営危機により別の可能性を模索することになりそうです。
国内市場の縮小、地産地消に伴う生産移転により、日本メーカー各社は今後、国内工場の維持をどうするのか、雇用とサプライヤーを守る観点から厳しい選択を強いられることになります。