2025年6月号『ざ・総括。』の記事【揺れる欧州自動車市場】がnoteから購入できるようになりました

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Thomas Schäfer and the ID. EVERY1 concept car

マガジンX 2025年6月号(4月25日発売)に掲載された【揺れる欧州自動車市場】の記事をnoteにて税込300円で購入できるようになりました。また月額600円の定期購読で3本すべての記事を購読することもできます。以下は無料公開の冒頭部分です。続きを読みたい方はその下のリンクからご購入ください。

【揺れる欧州自動車市場】

いまドイツでは何が起きているのだろうか?

ドイツの2023年と2024年は、2年連続でGDP(国内総生産)がマイナスだった。国別の自動車販売では2023年は前年比7.1%増、2024年も7.3%増と好調だったが、メーカー別では昨年、BMWとメルセデスベンツがグループ実績で前年比マイナスになり、ブランド別でもアウディとオペルがマイナス。VW(フォルクスワーゲン)はかろうじて1.3%のプラスだったが、各社とも2024年決算の数字は厳しい。ドイツ政府がBEV(バッテリー電気自動車)への補助金を、ほかのEU(欧州連合)諸国よりも早く2023年12月で打ち切ったことでBEVも売れなくなった。2025年もおそらくGDPは前年比マイナスだろうと言われている。ドイツでは一体何が起きているのだろうか?

価格を壊す中国企業

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 以前に比べてドイツ車の出来が悪くなったことは、この評価会議でもしばし話題にのぼる。この傾向がいつから目立ち始めたのだろうかと思って自分の試乗メモをチェックしてみたら、2018年ごろからだった。EUがBEV普及へと舵を切る前の年だ。当然、あのころすでにドイツOEM(自動車メーカー)の各社ではBEV開発が始まっていた。それが重荷になったことは想像できるが、今回はドイツという国で何が起きているのかをテーマにしようと思う。ゲストに技術調査のベテランF氏と、某サプライヤーで開発を担当しているK氏のお二人を招いた。F氏はもう何度かこの会議に出席していただいているからレギュラー・メンバー諸氏もすっかり顔なじみだと思う。K氏はオレの欧州での仕事仲間であり、クライアントでもある。この会議への出席は3度目だ。

技術調査のベテラン(以下=F) よろしくお願いします。まず私の感触として、「ドイツで何が起きているか」を語るとすれば、若者が肉を食べなくなったこと、ビールを飲まなくなったこと、官僚組織が左翼的になってきたこと、同時に科学的考察をする人間が減ったこと…などです。それとドイツという国家は、再エネ発電とBEVへの投資で国内経済が壊れてしまいました。これが昨年の印象です。

某サプライヤーの開発担当(以下=K) 仕事で直面している問題は、ドイツ系OEMからの開発発注がいくつも中止になったことです。それと、BEVと再エネ発電への投資がドイツ企業ではなく中国企業の利益になっていることで、ドイツ経済が壊れそうな理由のひとつは確実にここにあると思います。

ベテラン実験ドライバー(以下=T) 本誌の元編集長M氏がウェブ上で『壊れかけのドイツ』というコラムを書いていた。確かにその通りで、以前からのオレの仕事も少し減った。個人的な感触だと、以前にも増してドイツ人は仕事をしなくなった。休みが多いのは昔からだし、自動車関係の大企業はメンタルケアもヘルスケアも充実しているが、残業は完全に忌み嫌われている。

チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) ドイツ車の足回りのチューニングを頼まれたときに、クルマをあちこち観察してみると、同クラスの日本車よりはランクの高い部品を使っていることは確認できる。この点は以前と変わらない。しかし、部品を集めてきてクルマに仕上げる段階での「手間」をメルセデスベンツでは端折っている。BMWのBEVモデルでもそう感じる。VWは、ゴルフ系はさすがだと思う仕上がりだが、全モデルにその意気込みはない。

元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 2019年12月にEU委員会の委員長に就任した元ドイツ国防相フォンデアライエン女氏は、おそらくBEV普及という政策は間違っていないと現在でも信じていることでしょう。しかし、BEV補助金を廃止したドイツで、これほどBEVが売れなくなるとは想像していなかったのだろうと思います。欧州での再エネ発電は風力がメインですが、2022年まで世界首位だったデンマークのベスタスをはじめ、スペインのSGRE(シーメンス・ガメサ・リニューアル・エナジー)といった大手も、軒並み中国企業に蹴落とされました。風力発電の設備は長距離の運搬をするとコストが上がってしまうので、設置する場所に近い企業が有利なのですが、デンマーク沖とスペイン沖での設置計画が一段落して、新規の受注が減ったことが世界シェア後退の大きな理由だと思います。とはいえ、太陽光発電パネルを中国が牛耳ったように、いまや他の再エネ関連でも中国企業の寡占状態になりつつあります。

自動車業界の事情通(以下=通) 中国政府のやり方は、補助金をバラまいてどんどん設備投資をさせて、生産過剰になったら海外へ輸出し、価格破壊を起こさせてその分野を牛耳るというものだ。BEVの動力用電池は中国勢が8割を握った。太陽光発電パネルは9割だ。風力発電の風車も6割を超えた。もう、どの国も追い付けない。

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